A:「冷え性」といえば女性特有のものというイメージが強いですが、最近は男性にも「冷え性」の方が増えています。
男性は女性に比べて身体の構造や生活習慣(筋肉の量や服装等)から比較的「冷え性」になりづらいと言えるのですが、50歳を過ぎたあたりから、加齢による筋肉量の減少に加えて、仕事上の責任ある立場でのプレッシャーが自律神経の乱れを招き、それがきっかけとなって「冷え性」を発症する場合があるようです。
また、パソコンやインターネットの普及により、男性でも一定の姿勢で長時間イスに座りっぱなしで仕事をする場面が多くなり、それが腰のうっ血と血行不良を引き起こすことも「冷え性」増加の一因でしょう。
特に男性の「冷え性」は東洋医学でいう「腎」の働きを阻害するため、性欲減退・ED・脱毛・腰痛・意欲減退・物忘れ等の症状を併発することも多く、早めの対策が必要です。
「ツボ」
行間(こうかん):足の親指と人差し指の間、足の甲寄り。
太谿(たいけい):内くるぶしとアキレス腱の中点。
足の親指先端部:足の親指の爪の先端中央から、約2mm前方。
どのツボも少し強めに指圧してください。インスタント灸をすえるのも効果的。性欲減退やEDがある場合は、特に親指先端を充分に刺激してください。
「背中こすり」
背中から腰、おしりまで、手の平で上下にこすって下さい。
手のぬくもりを腰に浸透させるような気持ちで、なるべく上下に大きく動かすのがコツです。
腰痛の方は特に念入りに。
仕事等で一定の姿勢を続けた際には、時々腰を左右に廻して、腰のうっ血を解消するようにしましょう。
また、運動をすることも重要ですが、その時間の取れない方は、普段の生活の中で爪先立ちや爪先歩きを励行し、ふくらはぎの筋肉を鍛えるようにしましょう。
さらに、寝る前に足の裏を合わせてあぐら状態で座り、内股全体をよく揉みほぐすことも続けてみてください。
風呂で温まっても、寝る時には手足が冷えて、なかなか寝付けないという方も多いのではないでしょうか。
「冷え性」対策用の下着や靴下をはじめ、様々な対策グッズも市販されており、最近では冷え性対策コーナーを設ける店舗も出てくるほど、「冷え性」で悩んでいる方は多いようです。
なぜ「冷え性」になるのか、その原因は様々で、運動不足、食生活の乱れ(生もの・白砂糖・水分の摂りすぎ)、衣服(スカート・身体を締め付ける矯正下着等)、夏季の冷房の過度の使用等、生活習慣が大きく影響していることは否めません。
最近ではストレス等による自律神経の乱れも要因のひとつだといわれています。
東洋医学的には、気虚(ききょ:エネルギー不足)、血瘀(けつお:血の流れが悪い、いわゆるドロドロ血)が複合的に絡み合い、手足の末梢血管が血流不足になった状態であると判断します。
生活習慣の改善とともに、次の方法を根気よく続けてください。
「ツボ」
次髎(じりょう):お尻の中央上部の逆三角形の骨の真ん中から、左右2センチくらい離れたくぼみ。
三陰交(さんいんこう):内くるぶしの真ん中から、指4本分上、骨のすぐ後ろ際。
どのツボも、軽く押しまわすように、指圧してください。
手足が冷えて困っている時には、手足そのものを温めるよりも、「気海」や「次髎」の辺りを使い捨てカイロや湯たんぽで 温めるほうが効果的です。
「大根風呂」
大根の葉っぱを乾かし、細かく刻んだものをガーゼ状の袋に入れて、湯船に浮かべてみてください。身体の芯から温まり、湯冷めしにくくなります。
「食事について」
夏あるいは南国で採れる作物は身体を冷やし、冬あるいは北国で採れる作物は身体を温めます。
ところが現代はスーパーに行けば、産地・季節に関係なく、年中なんでも食材として手に入れることができます。
季節感・土地柄のない食事が「冷え性」のひとつの原因になっていることは否めません。
ですから、「冷え性」の方は特に自分が住んでいる土地で採れる、旬の食材を召し上がるようにして下さい。
この重要さを、昔から「身土不二」という言葉で言い表してきたのです。
最近よく耳にする地産・地消も健康のためのひとつのキーワードと云えるでしょう